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蒜山の禾さんが作ってくれた在来種『近成』の米みそになります。2022年の夏、禾さんの田んぼを見に行った時に、この一画だけ元気の無い稲が目に入ってきました。それが近成との最初の出会いです。これが近成の本当の姿なのか、隣にいる違う品種と比べたら大分差があったのを覚えています。収穫後に頂いた近成はお世辞にも美味しいとは言えないお米でした。野生麹菌は在来種との相性が良いですが、この近成がどんな変化をするのか不安でしたが、糀にした瞬間にその不安は消えました。今までに造ったことのないような理想に近い糀に仕上がって、その感動は今も忘れません。感動のあまり急いで禾さんに連絡しました。
仕上がったお味噌を食べてみても予想以上の美味しさでした。大豆の旨味を表現しつつ、夏らしくさっぱりともしています。
作るのも難しくて収量も低い、また食べても美味しくないお米となると人から忘れられていくの自然かもしれませんが、菌目線ではそうではないみたいです。改めて在来種の可能性、野生菌の可能性、発酵の可能性を教えてもらえた思い入れのあるお米です。
手間をかけて作ってくれた禾さんに感謝です。
少量しか仕込んでおらず、また禾さんも近年作っていないので貴重なお味噌です。
藤原啓司(藤原みそこうじ店)
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近成(ちかなり)は明治11〜12年に北海道で育成された稲です。
記録では芒があり、背丈は低く、分げつは少なく、小粒とあり、農家の本音としてはあまり魅力のない品種です。それでも育ててみようと思った理由は育成者に「米沢藩主上杉鷹山?」と書かれていたからです。
一般的に、古い品種の育成者はそのほとんどが後世に大きく名を残すような人ではありません。?がついているとはいえ上杉鷹山ってあの上杉鷹山だよな…と、内村鑑三の著書「代表的日本人」にもその名前が記されている偉人が育成した稲がどんなものか見てみたいと思いました。
田んぼでの風景は先にあった記述のとおりでした。すぐ隣に植わっていた他の品種とも大きく異なり、近成の生育は決して良いとは言えず実りはとても少ないものでした。すこしでも多くとすべて手作業で必死に集めたのが2022年の秋でした。
あれから2年弱、藤原さんが仕上がったお味噌を持ってきてくれました。田んぼでの感覚と、後日お米として食べたときの感覚(正直おいしくありませんでした)を思い出しながら、そのお味噌を一口食べたときの驚きが忘れられません。すごくおいしかったのです。
田んぼで感じたことも食べたお米の感想も、すべて自分のものです。その価値判断があまりにも人間都合のものであったなぁと身をもって体験しました。そして改めて、稲と菌のおもしろさを学ばせてもらった印象深い稲、それがこの近成です。たくさんの方にご賞味いただけましたらうれしいです。
近藤亮一(禾)
名称:米みそ
原材料名:米(岡山県真庭市蒜山産)、大豆(岡山県真庭市蒜山産)、塩(沖縄海水塩)
内容量:1kg
賞味期限:6ヶ月
保存方法:要冷蔵(10℃以下)
生産者
米:禾 品種:近成
大豆:禾 品種:サチユタカ
麹菌:藤原みそこうじ店